マゾ癖を見抜かれてしまった巨乳美人妻の告白
告白 真奈美(仮名)
児童館の思い出
子ども時代の私は、人より早熟な子だったと思います。体だけではなく、心が早熟でした。
いつからだったかな、自分が人とちがうなと思ったのは、と考えてみました。たぶん五、六歳のころからだったように思います。
小学校一年のとき、こんなことがありました。児童館の先生が民話の絵本を読んでくれたんです。『うりこひめとあまんじゃく』というお話です。同じぐらいの子どもが四人ほど車座になって、若い女の先生の読み聞かせを聞いていました。
あまんじゃくは、美しくやさしい瓜子姫をさらって、山の中で木に縛りつけてしまいます。それから、瓜子姫の着物を自分が着て、瓜子姫になりきって、育ての親がわりのおじいさんとおばあさんをだますのです。
先生が感想を聞くと、子どもたちは口々に、
「瓜子姫、かわいそう!」
「あまんじゃくは悪いやつ!」
と騒ぎましたが、私にはそんな単純な話には思えませんでした。
あまんじゃくは瓜子姫が好きなんだ、好きだからさらったんだ、と思ったのです。そのとき、得体の知れない興奮が襲ってきて、胸がどきどきして止まらなくなりました。
「ほかに感想はありませんか?」
と先生が私たちを見まわして聞いたので、思わず手をあげました。
「あまんじゃくに着物を盗られて、瓜子姫ははだかで縛られていたんですか?」
どうしても気になって、とっさに口を突いて出た質問でした。でも、先生はすごく困った顔になり、
「そうだね、瓜子姫はかわいそうだね。あまんじゃくにだまされた、おじいさんとおばあさんもかわいそうだね」
と、別の話にしてしまいました。はぐらかされた私はがっかりです。
みんなは「あまんじゃく! 悪いやつ!」と声を揃えて言っていましたが、私は一人、妖しい夢想にとらわれていました。
さらわれて、はだかにされて、木に縛りつけられて、一人ぼっち置き去りにされる――いったいどんな気持ちだろう。冷たい山の風に吹かれながら、あまんじゃくがもどってくるのを待っていたんだろうか――。
私も瓜子姫になりたい、と思いました。あとから考えると、このときが私のMの目覚めだったのです。
彼氏がいるのに
高校の時に彼氏ができて、初体験もしましたが、大学卒業まえに別れました。部活のOBで六歳年上の男性から誘われるようになり、強引な態度がSっぽくていいと心ひかれて、その人とときどき会うようになったためです。
そのころ、大学のある街の隣の駅のラブホテルにSMルームができて、話題になっていました。
「行ってみようよ」
と言われて、
「えっ、なんで?」
と思わず返しました。
「マナのために行くんだよ。俺にはわかるんだよ、マナは絶対Mだって」
と言われて驚きました。冗談のような口調でしたが、私は驚き、そして好奇心が湧いてきました。
そのときはまだ、高校時代からの彼氏と別れてはいませんでした。大学が別になって、一ヶ月に一回ぐらいしか会わなくなり、セックスもなくなっていましたが、お別れはしていなかったのです。
彼氏がいるのですから、断るべきでした。先輩に好感を抱いていたとはいえ、彼氏と別れてから誘いに応じるべきでした。
でも、ホテルのSMルームってどんなところか見てみたい。どんなことをするのか、ちょっとだけ見てみたい。こんなチャンス、二度とないんじゃないのかな……。
見るだけ、という私に、もちろんだよ、と軽く答えた先輩。そう言いながらなし崩しに迫ってくるんだろうな、と思いましたが、それでも断る気持ちになれませんでした。
SMルームは一つしかないのに、運よく入ることができました。真っ赤な壁に黒い板でXの形が作られています。(あー、こういうのスマホの漫画で見たな)と思い、なんだか滑稽だなという気持ちになりました。
先輩も「いかにも過ぎて、なんか笑える!」と言い、壁に掛けてあるコブラの頭がついた鞭だとか、手首足首を拘束するバンドのついた椅子だとか、二人で調べながら大笑いしました。
その流れで、服を着たまま、壁のXに手首と足首を固定されてはりつけの形になりました。二人とも、冗談のノリで笑っていました。
「やっぱりエロいな。似合ってるよ。そういう格好」
「やだもう、外してよ!」
ふざけ合っていたのですが、先輩が、鞭といっしょに壁に掛けてあった革のアイマスクを持ってきて、私の顏にぴたっと装着しました。
まだ新しい革の匂い、まぶたにひんやりとした感触。急に気分が変わりました。先輩が黙って離れた気配を感じ、心細くなりました。
「先輩……どこ?」
「ここにいるよ」
という声が思ったより遠くから聞こえます。
「ここってどこ?」
「ソファでビール飲みながら、はりつけにされたマナを眺めてる」
こんな姿を見られていることが急に恥ずかしくなってきました。もうやめて、アイマスクと拘束を外してください、と言いたいのに、なんだか息がつまるような感じで声が出ません。
「これもすごく似合うじゃん、奴隷みたいで」
それまでふざけていた先輩の声が急に低くなり、驚いてゾクッとしました。先輩はこういうことをするのに慣れているんだ、と思いました。もしかしたら、もっといろんなことをされるのかな……。
この続きは、マニア倶楽部2024年11月号をご覧ください。