「いもうとの下半身の事情。」【4】

おもらしコーナー

(「おもらし倶楽部」三九号より)

【4】電車の中で催して


これから書くことは三つ目の出来事です。たまたま偶然、二人で早朝、通学の電車に乗ってしまった時のことです。
その日、いもうとは思いつめたような暗い顔をしていたのが、今でもはっきり覚えています。朝、僕が大学へ行こうとすると、
「わたしも途中まで一緒に行く」
と言って、僕のカバンをつかんで離さなかったのです。途中までは一緒の電車に乗る通学手順なのですが、僕は「イヤだよ」と拒絶して、一人で出かけてしまいました。
そうして、比較的込んでいる朝の電車に、ひとりで乗った時のことです。ドアが閉まった瞬間にものすごい勢いで飛び込んできた女子校生がいて、はあはあ息を弾ませているのでびっくりしました。それはいもうとだでした。

そうして、僕の驚いた顔を見て、ぺこりと舌を出して、
「あ、偶然なんだー」
と、言い放ちました。絶対、僕のあとをつけてきたのに違いないのに、そんなことを言うものだから僕は怒るのをとおりこしてあきれてしまって、でも思わず笑ってしまったのでした。
いもうとは、扉の横のスペースに立っていた僕のほうににじり寄ってきて、もじもじしながら何かを言いたそうな素振りをしていたのですが、しばらくしてから、
「見ちゃったんだ、わたし」
「何が」
「おにいちゃんの彼女」
「えっ」
「このあいだの日曜日、駅前のデパートにいたでしょ。わたし、見ちゃった」
「…………」
「……わたし思ったんだけど……あの女の人、よくないよ。あんな人と一緒にいると、お兄ちゃん不幸になるよ。……わたしより全然ブサイクじゃない」
「なに言い出すかと思ったら、そんな事か。あのさ、大きなお世話だよ。どうしてお前にそんなこと言われなきゃ」
「バカ。わたしが一番わかってるんじゃない。お兄ちゃんのこと」
「何がわかってって言うんだよ」
「わたしの事だって、お兄ちゃんが一番わかってるでしょ!」
いもうとが大声をあげたので、まわりの乗客がジロジロと僕らのほうを好奇の目で見つめていました。
「大声だすなよ」
「人の目ばっかり気にして」
「そーいうことじゃないだろ」
いもうとは黙り込んでしまいました。怒っている様子でした。僕もイライラした気分で押し黙っていると、するとそのうち、うつむいて黙っていたいもうとの肩が、ぶるぶると小刻みに震えているのがわかりました。泣いてるのかと思いました。
「泣くこと、ないじゃないか」
うろたえた僕がいもうとの肩に手をかけようとすると、
「ちがうの……オシッコが、したくなったの……」
青い顔をしたいもうとが言いました。ものすごく苦しそうに眉間にしわを寄せていました。
「えっ!」
「急におなかが痛くなってきた」
「我慢しろよ。ダメだよ」
「どうしよう。どうしよう」
いもうとはお腹をおさえるようにして、今にもしゃがみ込んでしまいそうです。乗っている電車は快速なので、あと五分くらいは駅に止まらないはずで、僕はとにかく焦りまくってしまいました。
「どうしよう、漏れちゃうよお」
「だいじょうぶ、だいじょうぶだから、心配しないで」
「お兄ちゃん、イヤでしょ」
「…………」
「……わたし、洩らしちゃったら、お兄ちゃんだって同じに見られちゃうよ。だから向こうのボックスに行っちゃっていいんだよ」
その時、いもうとがしゃがみ込んでしまいました。そして、制服の紺スカートの下から、黄色いような液体の染みが、ゆるやかに広がっていきました。
いもうとは、お洩らししてしまったのです。電車の中でお洩らししてしまったのです。
僕はあわてていもうとが陰になるように、彼女に覆いかぶさるような格好になりました。いもうとはうつむいて黙ったままです。電車はごとごと走り続けています。背中に大勢の乗客の無言の視線を感じながら、僕もじっと耐え続けるしかありません。やがて電車が駅に止まると、僕はいもうとを抱えるようにして、ホームに飛び出しました。
「ごめんね、ごめんね……」
電車が行ってしまうと、いもうとはグスグスと泣き出しました。
「謝ることなんかないだろ。しょうがないじゃないか」
「だって、だってぇぇ」
まるで赤ちゃんみたいに泣きべそをかいているので、思わず僕はいい子いい子していもうとの頭を撫でてあげました。
「パンツ、びっちょり濡れちゃったんだろ? スカートはだいじょうぶみたいだから、一回駅から出て、コンビニで新しいパンツを買おうよ」
「……うん、そうする……」
「いつまでも泣いてたって、しょうがないだろ」
「……うん、ゴメンなさい……」
コンビニでいもうとは替えのパンツを買いました。コンビニのトイレで着替えてきました。僕はずっと外で待っていました。
「今日、学校行くのか?」
「行く」
「休んじゃってもいいんだよ」
「ううん、行く」
ふたりして黙って駅まで歩きました。ホームでもいもうとは黙ったままでした。僕もなんとなく気まづくて、うつむいていました。
「ねえ、お兄ちゃん」いもうとが言いました。
「お兄ちゃん、ありがとう……わたしのこと、守ってくれたんだ」
「…………」
「うれしかったの……なんだか、胸の奥がすっきりした。あ、すっきりしたなんてヘンだネ。胸の奥にろうそくの灯りがともったみたいな感じ」
「小説のセリフみたいだな」
「ありがとね」
でも、そんなことを言ういもうとの言葉に、僕の胸の奥は暗くて苦い痛みがこみあげてきたのでした。
それは……僕が秘かに興奮していたからです。自分でそんなことを認めるのはほんとうに恥ずかしいことだとは思うけれど、ほんとうは僕はほんの少しでも、興奮していのが事実だからなんです。いもうとの失禁を目の前にして僕はいったい……。

それから一週間くらいあと、僕は偶然に、いもうとの日記を読んでしまいました。それは多分、いもうとが不注意で置いてあった日記帳だったのだと思います。
でも、僕の机の上にあったのです。それは、ほんとうにいもうとの不注意だったのか、僕にはわかりません。それを偶然だったと呼べるのか……。
日記には、赤裸々な事が書いてありました。ここには書けないような赤裸々な事が書いてありました。
僕はその日の夜、日記に書かれていたいもうとの恥ずかしい姿を想像して、オナニーしてしまいました。いもうとに対して性欲をぶちまけるような、腰がしびれてのけぞるような射精のあと、言いようのない罪悪感がありました。
「お兄ちゃん、××子のお洩らし、見たいんだ。もっと近くに寄って、××子のアソコをよおく見たいんだよ」
「恥ずかしいよぉ」
「手をどけて」
「だって、そんな顔近付けちゃ、イヤだよ」
「オシッコするときに、パンツの布がぷっくり膨らんでいくよ。尿道のあたりがヒクヒク動いてる」
「うん……」
「鳥肌がたってきた」
「あ、もうすぐ出そうだよ。ぼうこうがオシッコでいっぱいなんだよ」
今僕は、そんな夢を見てばかりいます。

【5】へつづく。

「いもうとの下半身の事情。」
【1】雑木林に浮かんだお尻
【2】浴室のイヤらしい声
【3】いもうとで慰める日々
【4】電車の中で催して
【5】意外な下半身

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